2005年10月31日

行灯(その1)

行灯1.jpg 「行く灯し火」と書くように、元来手に持って移動に使われたものが、提灯などの出現により、活用の場が主として室内になってきました。
 何となく和らぐ丸型、蜜柑、なつめ、と火袋の形で呼び分けられ、落ち着きのある角型は極めて多く、脚は2本か4本 が普通です。
 障子扉は上に引き上げたり、横への引戸、開き戸など、また丸い形のものは、火袋自体上げ下ろしが出来て、油注ぎや火を点けるのに不自由は無いのです。
 図は筒型で火袋の半分の障子がぐるりと回り、回し開いて注油や点火をする。『円周行灯』や『遠州行灯』と表現されております。
          Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月28日

金曜コラム

西丹沢・大野山フェスティバル
 
ホルン.jpg 山北を名乗る自治体は全国に2つある。新潟県は山北町(さんぽくまち)、神奈川県は山北町(やまきたまち)という。
 新潟県の最北端にあり、26`続く海岸線が国の名勝天然記念物「笹川流れ」として指定される海辺の町と、かつて東海道本線の箱根越えの拠点駅として栄えた山間(やまあい)の町は、同名のよしみから、民間交流を続けている。
 「やまきたまち」には、首都圏のハイカーに人気の大野山(標高723.1b)がある。山頂からは、富士山や丹沢山塊、箱根連山、相模湾、眼下に丹沢湖が広がる。
 桜が咲く春には「大野山開き」、山々がモザイク模様に染まる秋には、牛や羊と触れあえる「大野山フェスティバル」がある。今年のフェスティバルは11月5日。牛乳やバーベキューが各2000人に振る舞われ、搾乳実演やのどかなアルプホルンの演奏などもあり、牧歌的な雰囲気を満喫できる。
 かつて、D51ブルー・トレーンが雄姿を見せた御殿場線に乗って、アルプホルンが山々にこだまする西丹沢の小さな旅に出てみよう。        (粒)


西丹沢の山々にこだまするアルプホルン

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2005年10月26日

吊り灯台(その3)

吊り灯台3.jpg ロータリークラブの会合で、古い灯火具の話を致しましたところ、「うちの蔵でもタンコロを使っていたよ」と反応がありました。そんなことから何気なく「網提灯」の話をしましたところ、相田酒造・相田隆一社長がおっしゃるに、「うちの蔵ではロウソクを使ったことはなかったよ。タンコロをはじめ、油皿を使っていたけど、油皿は直接 手で持つとどうしてもこぼ れやすい。それが吊り灯台で持ち運ぶと驚くほどこぼれることがない。職人衆は油皿を、“ブラ皿、ブラ皿”と呼んでいたよ。」と聞かされ、さもありなんと心得ながら、プロが活用した裏付けが得られ、実に嬉しい思いでございました。
 なお、一瞬、仕事用語につめて“ブラ皿”と呼んだものと理解したものの、吊り灯台の柄(え)と単純ながら自在に動ける受け皿がブラブラすることによって油がこぼ れない事で、“ブラ皿”と言ったのではないかとも思われるのですが。
 余談になりますが、漫画家・清水崑さんの門人でもあり、“木久ちゃん”の愛称で万人に親しまれている落語家・林家木久蔵師匠が描くところの、噺の主人公たちが活躍する『木久蔵流錦絵草紙(にしきえぞうし)』〈1995年出版、リバティ書房〉から、銘酒『知恵袋』のラベルに活用したものがあるのです。江戸の道具類がよく出ている錦絵草紙を、出版時より求め楽しんで見させて頂く飲兵衛の一人として、江戸期の風物や人々の動きを楽しみつつ、銘酒を堪能している日々でございます。
             Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月24日

体験学習

体験学習.gif 10月14日、久方ぶりの出前講座でした。子供たちの活発な動きは実に快く、活力を頂いて参りました。二宮小学校は4年生、120人弱の3クラスです。
 まずは江戸期、照明の根幹をなす、油の灯火「たんころ」からです。からくり的動きの手燭や燭台は、強く目を引きますが、何と言っても『火打箱での切り火』です。中でもうまく飛ばす子もあって、火口(ほくち)に着火し、直ちに燃え広がるのを見たグループの驚きは、極めて大きなものでした。
 紙粘土での菓子型体験は、皆さんそれなりの作品ができて大喜びです。
 子供たちが『江戸のUFОキャッチャー』と呼ぶ「水熊手」は、2本 のロープで水中の物を掴み取ってくる道具ですから、動きも大きく人気者です。2組持ち込みましたので、スムーズに流れました。
 ところが、参考にと並べた「薬研(やげん)」や、入れ子になった重箱状の「切り溜(きりだめ)」を、黙々と動かしている子供たちが今回もいました。心に響く何かがあるような気が致します。
 先生方のよろしきリードで、スムーズに流れた90分でしたが、実に心楽しい時を過ごしました。
             Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月21日

金曜コラム

 足柄マスターズ
野球.gif かつて、子供が好きなものの代名詞は「巨人、大鵬、卵焼き」だった。今、プロ野球界は、半世紀ぶりに東北楽天ゴールデンイーグルスがパリーグに参入し、高視聴率を稼ぎ出した球界の盟主・巨人は、凋落の一途を辿っている。
 31年ぶりにパリーグを制した千葉ロッテマリーンズ対阪神タイガースの日本シリーズは22日から、ロッテの本拠地・千葉マリンスタジアムで始まる。
 プロ野球の黄金時代を築き、年を重ねた往年の名選手が5球団に分かれて戦う「マスターズリーグ」は11月3日、開幕する。安打製造器の張本勲、マサカリ投法の村田兆治、伝説の左腕・江夏豊、「神サマ・仏サマ・稲尾サマ」といわれた鉄腕・稲尾和久、軽快なフットワークで牛若丸の異名をとった吉田義男らが、顔を揃える。
 神奈川県西部には、6自治体の職員で組織する「足柄マスターズ」がある。
 昭和30年〜40年代、自治体の長は、野球にこだわり人材を求めた。選手たちは、町の名誉と威信をかけ、連日、泥まみれになり白球を追いかけた。そんな良き時代に入庁した強者(つわもの)が、3役や部課長となり、自治体間の連携を深め、まちづくりを支えている。
 往年の名選手らは29日、ペンをバットに、活躍の場を役所からグラウンドに代えて、中井町の野球場に集う。 (粒)

*音声は、芹沢優名誉会長のコメントです。


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2005年10月19日

吊り灯台(その2)

吊り灯台2.jpg 一般的に家では台所、職方では作業場、また機織場(はたおりば)など、梁(はり)や天井から吊り下げ、裸火の効果を充分に活用したものでした。
 能登は七尾港の漁業関係者から品物が出た時の話の一端から、ただ吊り下げてのみ使われたものではないことは感じていました。自分なりに試し使いも致しましたが、実際に充分使い込んだ人々の生の声を聞きたいものだと思っておりました。
 とうとう聞くことが出来ました。それが何と極めて身近にあったのです。小田原から出るローカル線、大雄山線で2分、最初の緑町駅から南東へ300b、現在操業しているところの小田原銘酒『知恵袋』の酒造・相田酒造だったのです。
 長い時が過ぎました。七尾の墓参から十数年、ようやく聞くことが出来たのです。
 年に1度、数人で新酒を味わいに参上し、痛飲して帰りながら、長いことわからずじまいで過ごしていたわけです。 (つづく)
             Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月17日

吊り灯台(その1)

吊り灯台1.jpg 忍者防止用という「鳴子(なるこ)」があるかどうかはわからない。でありながら、そういう触れ込みで見せられると、つい気持ちが引き込まれぐらぐらと波打つ。まことにもって病膏盲(やまいこうもう)と申すのでしょう。
 新潟から出た鳴子は、打ち鳴らすと良い音が響き出る厚手の欅板(けやきいた)に、ふたつに折れる錬鉄棒7本 が吊り下がった作りです。仔細に見ますと、鉄棒が強く当たる下半分が3_も擦り減っている具合から、並みの使われ方ではないことが読み取れます。
 常備活用されたもので、大切な連絡や知らせなど極めて頻繁に使われたものなのでしょう。
 その包みの中から、吊り灯台が2本 一緒に出てきたのでございます。そうなりますと、連係する紐(ひも)の点検などに使われたものではないかと、想像をめぐらしてしまうのです。 (つづく)
          Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月14日

金曜コラム

金次郎と矢佐芝

二宮金次郎.gif かつて、小学校の校庭には、薪(たきぎ)を背負い、読書をしながら歩く二宮金次郎の銅像が建っていた。太平洋戦争を経て、銅像は激減した。構造改革が叫ばれる中、NHKテレビ『その時歴史が動いた』は二宮尊徳を放映、全国に金次郎ブームを巻き起こしている。
 道路公団民営化推進委員や政府税制委員などを務める作家・猪瀬直樹さんは、人口減少や労働意欲衰退、財政赤字など日本が抱える病の処方箋は「二宮金次郎」にある、と著書『ゼロ成長の富国論』にいう。
 今、金次郎柴刈りの地として注目を集めている世帯数21、人口76人の南足柄市矢佐芝自治会が、元気だ。
 同自治会は、矢佐芝山から小田原市栢山の生家まで、カツラをかぶり、薪を背負い、本を手にした金次郎スタイルで約7`の道のりを辿る「二宮金次郎・柴刈りウオーク」や柴刈りの途中で休んだとの伝承がある「腰掛け石」、箱根外輪山・明神ヶ岳へのハイキングコース開設など、少ない地域資源を掘り起こした。そして、(財)地域社会振興財団の助成を受け、カツラ、背負子(しょいこ)、はっぴ、きゃはん、わらじ、足袋など金次郎グッズ30セットを揃えた。
 23日の柴刈りウオークでは、すぐれた換金商品「薪」から新金融モデルを考案した尊徳に扮した平成の金次郎が、「矢佐芝の元気」と「希望の未来」を全国に発信する。  (粒)

音声のコメントは樋宮嶺さん(二宮金次郎柴刈りウオーク実行委員長)


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2005年10月12日

思わぬ発見

思わぬ発見.jpg 2日に亘る調査計測も終了し、片付けも一段落をして、今回の概略説明を聞いた後、当館収蔵の、江戸初期からの方位磁石、日時計、コダックNO.2の箱型カメラや、大阪の東野進先生から頂戴した「彎?羅鍼(わんからしん)」などを箸休めにご覧頂きましたところ、富山市科学文化センターの渡辺誠先生、富山大学の市瀬先生のおふた方から、聞かされました。
 おっしゃるには、伊能忠敬発明の彎カラ羅鍼のガラスが弛んでいたので、締め直す前に分解してみたところ、方位針の裏面が、特殊の焼き入れを示すブルースチールの青が読み取れ、さらにはそれを支える鉄芯の接点に、極小の水晶が嵌め込まれていた。伊能忠敬の師匠、高橋至時(よしとき)と兄弟弟子の間重富と交わされた書簡に書き込まれている工夫の数々を、実証的に確認できました。――とのことでした。予想も付かない心嬉しき思わぬ発見でした。
           Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月10日

正時版符天機調査結果

正時版.jpg 去る9月7・8日の両日に行われた、当館収蔵の、垂揺球儀を活用した『正時版符天機』と名付けられている、加賀藩の振子時計を精査計測した結果報告が、特定領域研究「江戸のモノづくり」第7回国際シンポジウムin長野(10月21〜24日)の研究者集会にて、富山市科学文化センターの渡辺誠先生により発表されます。 参加を楽しみに致しておりましたが、急きょ参加出来なくなり、残念ですが、文書にて調査報告書を頂けるとのことですので、その折にはまたご報告したいと思っております。
        Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月07日

金曜コラム

 蘇れ!団塊バンド
酒匂恋歌.gif 2年後から始まる団塊世代の大量定年。昭和22年から同24年、戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代は全国で690万人ともいわれる。巨大な塊(かたまり)は、セカンドライフ探しに再び動き始めた。
 昭和40年代初め、甘い声でロマンチックな大人の世界を歌ったムード歌謡が全盛を極めた。新たな需要や供給を産み出した団塊の世代は、ビートルズやグループサウンドやフォークソングに目覚め、日本の音楽を変えた。
 神奈川県西部の小さな町・松田にも団塊の世代をリーダーに町職員6人で編成したバンド「カティサーク」があった。昭和51年10月、メンバーの一人が、作詞・作曲を手がけた「酒匂恋歌」と「松田の女(ひと)」でレコードデビューを果たした。レパートリーは演歌からポップスまで約300曲。
 ♪淡い月影背にうけて 一人たたずむ酒匂川……と歌う「酒匂恋歌」と「松田の女」はシングル版で1000枚出した。クリスマスパーティには、あちらこちらから声がかかり、NHKテレビ「関東ネットワーク一都六県」に出演するなどプロ並みのスケジュールに追われる一方、自然豊かな町・松田のPRに貢献した。
 休眠中のカティサークは今、地域で自分らしく生きるための術「バンド再結成」に目覚め始めた。  (粒)

当時の「酒匂恋歌」


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2005年10月05日

篝(かがり)《その2》

かがり2.jpg 豪快に燃やしている熱気溢れた場面を、テレビの時代劇などで見ることがあります。焚き方により勇壮でもあり、また雅(みやび)な風情ともなります。
 吊り下げると申せば、篝篭に火を焚き、船の舳先(へさき)に取り付けた鵜飼の篝船などが、思い浮かぶのではないでしょうか。
 焚くものは松の根株にある「ひで」と呼ばれる脂分の多い鰹節状のところで、「肥え松」「あぶら松」など、所によって呼び方が異なるようです。
 家内の里の本家である、能登は七尾にあった中村家に、極めて古い時代の呼び名である『庭燎(にわび)』と呼ばれる、全て銅で作られているところの、小振りの篝がありました。人寄せや祝い事の折、庭石の上に置き、割り箸状の「あぶら松」を焚く、『わざわざお出でました方々への馳走』だそうです。
 「ひで」ではありませんが、松や竹を焚いてみますと、実に清浄感溢れた雰囲気をもたらし、静かに眺めておりますと、しばし酔いしれるように相成りました。
                Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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2005年10月03日

篝(かがり)《その1》

かがり1.jpg 薪能に幽玄な雰囲気を醸し出す篝火は、鉄で出来ている「篝篭(かがりかご)」で、松の“ひで”を焚いて明かりを取るものですから、篝火と呼ばれます。
 鎌倉時代、街の辻で警護のため篝火を焚いた番所を「篝屋」と呼んだことが記録されております。
 薪能に使われる、三脚に支えられたものや、吊り下げるもの、横に突き出すものなど、色々な形があります。
 突き出す形は図が一例です。船端(ふなばた)に掛け、篝部分を水面に突き出して使った漁労用のもの。
 恋焦がれた末に、新潟でやっと出会うことが出来ました。だいぶ昔の話です。「夜とぼし」とか「川とぼし」と、呼ばれていたそうです。
             Antique Museum 江戸民具街道館長 秋澤達雄



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